本当に塩分過多は高血圧につながるのか?

「血圧上昇を防ぐ食事」でも塩分摂取について触れている通り、
「塩分の摂り過ぎは高血圧につながる」というのは、
今や常識と言っても過言ではない説とされています。

 

しかし、近年ではそれに異論が唱えられることもあります。

 

一体どちらの説が正しいのでしょうか?

 

「塩分をたくさん摂っても問題ない」説の根拠は?

さて、まずは、なぜ、近年「塩分をたくさん摂っても問題ない」
という趣旨の説が出てきているのかというと、
これは「世界的に見ても日本人の塩分摂取量は多いのに、
それでも日本人が世界トップクラスに長生きだからだ」というのがあります。

 

確かに、日本人の塩分摂取量は多いです。
厚生労働省の「平成28年国民健康・栄養調査結果の概要」によると、
成人の1日あたりの塩分摂取量は男性10.8グラム・女性9.2グラム、という結果が出ています。

 

これは、世界保健機関(WHO)の食塩摂取目標(1日5グラムまで)だけでなく、
それよりもゆるい基準である日本の厚生労働省の
「日本人の食事摂取基準」

 

(成人男性8グラム未満、成人女性7グラム未満、
そして高血圧患者は6グラム未満)も大幅に超えています。

 

にもかかわらず、日本人は長生き・・・
その事実だけを見ると塩分摂取には問題なさそうな気もしてしまいますが、
本当にそれが正しいのかというと、さらによく調べてみると疑問が出てくるのです。

 

健康寿命には影響する可能性が!

日本人は長生きですが、
「平均寿命と健康寿命の差」については、気になる点があります。

 

健康寿命とは「介護や支援などを受けなくとも、
健康上に問題なく日常生活を送れる期間」のことを指します。

 

そして、日本人の平均寿命と健康寿命の差は、
男性が約9年、女性が約12年。

 

つまり「10年前後もの長い期間、要介護など健康ではない状態で余生を過ごす」
というのが日本人の現状なのです。

 

製鉄記念八幡病院の土橋卓也院長の指摘によると、
要介護5となる原因の約3分の1が脳卒中で、約5分の1は認知症であるとのこと。

 

高血圧が脳卒中の大きな原因となるのは有名ですが、実は認知症とも関係が深く、
脳血管障害による認知症は、高血圧が主原因であると考えられています。

 

そう考えると、「高血圧が健康寿命を延ばす足かせになってしまっている」
という事実が見えてきますよね。

 

日本は医療体制や衛生管理がすぐれており、さらに、
日本の伝統的和食は「塩分が多いという点以外は、
ミネラル分が多いなど健康面でのメリットが多い食事」と言えます。

 

日本人は塩分摂取が少々多くとも、そうした環境面や和食のメリットなどの理由で
平均寿命は延ばせてきたわけですが、「より長く健康的に」生きたいのであれば、
減塩を考えることは必然と言えるでしょう。

 

高血圧と塩分摂取の関係を示す研究結果

というわけで、健康寿命を縮めてしまう要素を減らすために、
減塩は大切なポイントと言えますが、「本当に塩分摂取と血圧には関係があるのか」と、
まだ疑問に思われる方も居るでしょうから、ここで興味深い研究結果をひとつご紹介しておきましょう。

 

遠州病院と名古屋市立大学の共同研究グループが2013年に発表したところによると、
塩分を高摂取するグループは、低摂取のグループに比べると高血圧の発症リスクが1.25倍に上がる、ということが判明しました。

 

この研究は、「もともと血圧が正常値だった4523人を対象に、約3年間の追跡調査を行った結果」なので、これはやはり「塩分の高摂取をする日々が続けば、正常だった血圧も高くなってしまう」ということを示していると言えるでしょう。

 

もちろん約3年という年月がもたらす「加齢による自然な血圧上昇」も含まれていますが、それでも、低摂取のグループとはハッキリと差が出ていたのです。

 

介護理由となる病気のリスクや、こうした研究結果を見ると、やはり「塩分は摂りすぎない方がいい」という結論になりますね。

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